2.14. 銀行から資金 2,000 を調達（設備投資資金）

クチヒゲさんは、店舗を購入するための借入を行いました。

取引No6では、運転資金として短期（借入期間は半年）のお金を銀行から借りました。 商品を仕入れて在庫として保有する期間は、「お金」が「商品」として拘束され、かつ、その商品が売れたとしても売掛債権が回収されるまでの期間、お金が拘束されるからです。

今回の取引No14では、設備投資資金（次の 取引No15で建物（店舗）を購入します）として、借入期間が長期のお金を銀行から借ります。 長期使用する資産に投資をするとき、手元の資金だけで購入するのは資金効率がよくありません。 利息を支払ってでも、銀行から長期（資産の使用年数と同程度）のお金を借りることで、会社全体の資金の効率化を図ります。

銀行からの資金調達は、「財務キャッシュフロー」です。

借入元本分のキャッシュの増加 2,000 について、 財務キャッシュフローの「長期借入による収入 2,000 」に記録します。

利息の支払は、取引No6の短期借入で処理したのと同じように、「営業キャッシュフロー」として調整します。 このように会計では、いったん採用した会計処理の原則及び手続は毎期継続して適用しなければなりません（継続性の原則）。

また、この取引で計上したP/Lの「支払利息」は支払いベースです。 来期に属する利息の負担は当期に計上すべきではありません。 これは取引No21 : 決算整理 - 前受・前払利息へ振替で確認します。

「現金及び預金」の残高が、お金を銀行から借り入れた分（借入元本 2,000 と支払利息 60 の 差額 1,940 ）だけ、 1,411 から 3,351 に増えました。

この取引で発生した借入債務 2,000 は、B/Sの右側の負債の部に「長期借入金 2,000 」として記録します。 これは、借入期間が20年でかつ期限一括返済の契約なので、長期の借入金です。

また「 利益剰余金 」は、P/Lに「支払利息」が 60 計上されたことで、851 から 791 に減ります。 これにより、B/Sの左右は金額が一致します。

支払った利息は、営業外費用の「支払利息 」に記録します。 取引No6で計上した支払利息9 と今回の 60 との合計 69 が「支払利息」に計上 されます。

この取引では、元本 2,000 に年利率の 3 ％を乗じた 1年分の利息費用 60 は、前もって借入時に支払った金額であり、キャッシュベースのままです。 この利息費用を発生ベースに修正する決算整理処理は、 取引No21 : 決算整理 - 前受・前払利息へ振替で確認します。