Eurekapu.com

1. イントロダクション

最初に、登場人物を紹介します。

主人公は「クチヒゲ」さんです。
クチヒゲさん自ら株式会社を設立し、リンゴを仕入販売する八百屋を始めました。
当社の代表取締役はクチヒゲさんです。
農家を営むアゴヒゲさんからリンゴを仕入れ、レストランを営むハートさんにリンゴを売上げます。

図の見方

次に、図の見方(絵の位置関係だけ)を確認します。

話者と聞き手との間で図の解釈が共有されている場合に限り、図を使った説明はわかりやすいといわれます。
各用語の解説は各Partで後述しますので、わからない用語はとばして大丈夫です。

仕入先は必ず当社の左側に、得意先は当社の右側に位置させています。 これは費用が左側に位置すること、収益が右側に位置することに合わせています。 これにより原則、お金は右から左に流れ、モノは左から右に流れます。
また、銀行も当社の右側に位置させています。 これは負債が右側に位置することに合わせています。 債務の発生も当社の右上に位置させることで負債の発生位置と合わせています。
出資者(株主)も当社の右側に位置させています。 これは純資産が右側に位置することに合わせています。
図の見方から脱線しますがこのように、会計では企業にお金が増えたとき、大きく3つにわけます。 1つ目は借りたお金、2つ目は(出資して)もらったお金、3つ目は稼いだお金です。
借りたお金を返せば、債務はなくなります。 反対に、お金を貸せば、債権が発生します。このように、お金を貸したときに発生する債権は、当社の左上に位置させています。これは資産の増加が左側に位置することに合わせています。
債権・債務など目に見えないモノ(抽象概念)は点線で表し、現金のような目に見えるモノは実線で表します。 色使いは好みがわかれると思います。ここでは、債権は将来的にお金に変わる「幸せなモノ」なので温かいピンク色、債務は将来的にお金が出ていく「嬉しくないモノ」なので寒いイメージのある青色を使いました。

1/6

仕入先は必ず当社の左側に、得意先は当社の右側に位置させています。 これは費用が左側に位置すること、収益が右側に位置することに合わせています。 これにより原則、お金は右から左に流れ、モノは左から右に流れます。

1/6

また、銀行も当社の右側に位置させています。 これは負債が右側に位置することに合わせています。 債務の発生も当社の右上に位置させることで負債の発生位置と合わせています。

2/6

出資者(株主)も当社の右側に位置させています。 これは純資産が右側に位置することに合わせています。

3/6

図の見方から脱線しますがこのように、会計では企業にお金が増えたとき、大きく3つにわけます。 1つ目は借りたお金、2つ目は(出資して)もらったお金、3つ目は稼いだお金です。

4/6

借りたお金を返せば、債務はなくなります。 反対に、お金を貸せば、債権が発生します。このように、お金を貸したときに発生する債権は、当社の左上に位置させています。これは資産の増加が左側に位置することに合わせています。

5/6

債権・債務など目に見えないモノ(抽象概念)は点線で表し、現金のような目に見えるモノは実線で表します。 色使いは好みがわかれると思います。ここでは、債権は将来的にお金に変わる「幸せなモノ」なので温かいピンク色、債務は将来的にお金が出ていく「嬉しくないモノ」なので寒いイメージのある青色を使いました。

6/6

取引

取引は原則、自分のもつ「何か」と取引相手のもつ「何か」を等価交換することで成立します。
図をみるときは、この 「誰」と「誰」が「何」と「何」を「いくらで」交換したのかに注目してください。

この取引では、クチヒゲさんの持つ「リンゴ」をハートさんの持つ「お金 600」と交換しています。

もし、自分のもつ「何か」を相手に与えたときに、相手から対価を受け取らなければ、相手に「 貸し 」ができます。 この取引先に対する貸しを会計的に言い換えれば、後日、取引相手に対して「何らかの対価を請求する権利といえます。

このような 将来的にお金になるような権利も、「 資産 」です

たとえば、クチヒゲさんがリンゴをハートさんに引き渡し、リンゴの代金を引渡し時にもらわないで、後日受け取る約束を結んだとします。 この場合、クチヒゲさんには、「 後日、売上代金を請求する権利 」がハートさんに対し発生します。

クチヒゲさんからみたこの権利は、ハートさんからみれば、「 義務 」です。 ハートさんは、「リンゴ」を先にもらったので、クチヒゲさんに「借り」ができました。

ここは、非常に大切なところなので、次は、お金を先にもらった場合を確認します。

たとえば、クチヒゲさんがハートさんから先にお金を受け取り、リンゴは後日引き渡す約束を結んだとします。 この場合、クチヒゲさんには、「 後日、(600の価値がある)リンゴを引き渡す義務 」がハートさんに対し発生します。

クチヒゲさんからみたこの義務は、ハートさんからみれば、「 権利 」です。

このように、権利と義務は対になっており、 誰かの権利は誰かにとっては義務 であり、 誰かにとっての義務は、誰かにとっては権利 です。

1/3

この取引では、クチヒゲさんの持つ「リンゴ」をハートさんの持つ「お金 600」と交換しています。

1/3

もし、自分のもつ「何か」を相手に与えたときに、相手から対価を受け取らなければ、相手に「 貸し 」ができます。 この取引先に対する貸しを会計的に言い換えれば、後日、取引相手に対して「何らかの対価を請求する権利といえます。

このような 将来的にお金になるような権利も、「 資産 」です

たとえば、クチヒゲさんがリンゴをハートさんに引き渡し、リンゴの代金を引渡し時にもらわないで、後日受け取る約束を結んだとします。 この場合、クチヒゲさんには、「 後日、売上代金を請求する権利 」がハートさんに対し発生します。

クチヒゲさんからみたこの権利は、ハートさんからみれば、「 義務 」です。 ハートさんは、「リンゴ」を先にもらったので、クチヒゲさんに「借り」ができました。

2/3

ここは、非常に大切なところなので、次は、お金を先にもらった場合を確認します。

たとえば、クチヒゲさんがハートさんから先にお金を受け取り、リンゴは後日引き渡す約束を結んだとします。 この場合、クチヒゲさんには、「 後日、(600の価値がある)リンゴを引き渡す義務 」がハートさんに対し発生します。

クチヒゲさんからみたこの義務は、ハートさんからみれば、「 権利 」です。

このように、権利と義務は対になっており、 誰かの権利は誰かにとっては義務 であり、 誰かにとっての義務は、誰かにとっては権利 です。

3/3

取引と財務諸表の連動をイメージ

ざっくりと取引の全体感を確認しましょう。 細かい解説は、各章で丁寧に行っていきます。

最初に、下のボタンを押してください。取引は合計22個あります。
ここでは、図の中の クチヒゲさんが誰と何をいくらで交換したかと、その結果、お金がいくら増減したかだけに注目してください。

「貸借対照表」の左上に「現金及び預金」があります。 図の中のお金の増減・その手元有高を把握するだけなら、「現金及び預金」だけでも事足ります。
しかし、会社が儲かっているのか、お金を何に使ったのかなどの「経営情報」を「現金及び預金」の増減・その手元有高だけで把握するのは困難です。
従って、以下の図の下にある、「キャッシュフロー計算書」、「貸借対照表」、「損益計算書」、「株主資本等変動計算書」などを使って、「経営情報」を提供することになります。

取引No.1 - 出資金 500 の払い込み(株式会社の設立)
transactionNo01 現金及び預金残高 代表取締役 出資者 株式 株式数 株価 100 5 500 500 - 500
取引No.1 - 会社設立費用 30 の支払
transactionNo02 当社 法務局など 現金及び預金残高 500 470 30 30
取引No.1 - パソコンを 40 で購入
transactionNo03 現金及び預金残高 台数 単価 当社 家電量販店 470 430 40 40 1 40
取引No.1 - 消耗品を 5 で購入
transactionNo04 現金及び預金残高 当社 ホームセンター 425 5 5 430
取引No.1 - チラシ代 5 の支払
transactionNo05 現金及び預金残高 広告代理店 当社 5 5 420 425
取引No.1 - 銀行から資金 600 を調達 - 運転資金
transactionNo06 当社 銀行 BANK 現金及び預金残高 借入債務 利息 銀行 当社 9 600 1,011 420
取引No.1 - 商品 500 を仕入れ、現金支払
transactionNo07 仕入先 現金及び預金残高 数量 単価 当社 500 500 10 50 511 1,011
取引No.1 - 商品 200 を仕入れ、代金は掛けとした
transactionNo08 買掛債務 511 511 仕入先 現金及び預金残高 数量 単価 変動なし 当社 200 200 4 50
取引No.1 - 商品を 600 で売上げ、代金は現金で受け取った
transactionNo09 現金及び預金残高 数量 単価 顧客(得意先 当社 1,111 600 600 511 3 200
取引No.1 - 商品を 600 で売上げ、代金は掛けとした
transactionNo10 現金及び預金残高 数量 単価 顧客(得意先 当社 1,111 1,111 変動なし 売掛債権 600 600 3 200
取引No.1 - 買掛債務の 200 の支払
transactionNo11 買掛債務 仕入先 現金及び預金残高 当社 精算 200 200 1,111 911
取引No.1 - 売掛債権 600 の回収
transactionNo12 現金及び預金残高 顧客(得意先 当社 売掛債権 精算 600 600 911 1,511
取引No.1 - 営業用車両 100 を購入
transactionNo13 現金及び預金残高 台数 単価 当社 販売代理店 100 100 1 100 1,511 1,411
取引No.1 - 銀行から資金 2,000 を調達(設備投資資金)
transactionNo14 当社 銀行 BANK 現金及び預金残高 借入債務 利息 銀行 当社 60 2,000 1,411 3,351
取引No.1 - 店舗を 2,000 で購入
transactionNo15 現金及び預金残高 店舗数 単価 当社 不動産屋 2,000 2,000 1 2,000 3,351 1,351
取引No.1 - 取引先に対し、330 を貸付
transactionNo16 現金及び預金残高 取引先 当社 貸付債権 利息 330 10 330 1,351 1,031
取引No.1 - 短期借入金 600 の返済
transactionNo17 当社 銀行 BANK 現金及び預金残高 借入債務 精算 銀行 当社 600 1,031 431
取引No.1 - 役員報酬 25 の支払(うち、5は預り)
transactionNo18 現金及び預金残高 当社 代表取締役 預り債務 対税務署など 役務 20 5 25 431 411
取引No.1 - 預り金 5 + 会社負担分の社会保険料 5 の支払
transactionNo19 現金及び預金残高 当社 税務署など 預り債務 5 精算 10 411 401
取引No.1 - 減価償却費の計上 - 決算整理
transactionNo20 取得価額 償却年数 償却費 20 5 建物 備品 車両運搬具 5 2,000 40 100 100 8 20
取引No.1 - 前受・前払利息への振替 - 決算整理
transactionNo21 支払った利息 借入日 当期末 当期分だけを費用計上 来期分は費用の前払い「前払利息(資産」に繰延べ 受け取った利息 貸付日 当期分だけを収益計上 来期分は収益の前受け「前受利息(負債」に繰延べ 30 5 30 5 60 10
取引No.1 - 未払法人税等 - の計上 - 決算整理
transactionNo22 期首 1 2期 1 期の所得を計算後 1 期の費用として 法人税等を計上 2 ヶ月以内 決算日 決算締め日 申告・納付

キャッシュフロー計算書 (C/S)

直接法 金額 間接法 金額
営業収入 - 税引前当期純利益 -
商品仕入支出 - 減価償却費 -
人件費支出 - 創立費 -
その他の営業支出 - 受取利息 -
小計(直接法) - 支払利息 -
利息の受取額 - 売上債権の増減 -
利息の支払額 - 仕入債務の増減 -
法人税等の支払額 - 棚卸資産の増減 -
営業キャッシュフロー - その他負債の増減 -
固定資産の取得支出 - 小計(間接法) -
貸付による支出 - 利息の受取額 -
その他の投資支出 - 利息の支払額 -
投資キャッシュフロー - 法人税等の支払額 -
短期借入による収入 - 営業キャッシュフロー -
短期借入の返済支出 - ※投資キャッシュフローと財務キャッシュフローは直接法でも間接法でも同じであるため、省略
株式発行による収入 500
長期借入による収入 -
財務キャッシュフロー 500
キャッシュフローの増減額 500
現金及び預金期首残高 -
現金及び預金期末残高 500
間接法 金額
税引前当期純利益 -
減価償却費 -
創立費 -
受取利息 -
支払利息 -
売上債権の増減 -
仕入債務の増減 -
棚卸資産の増減 -
その他負債の増減 -
小計(間接法) -
利息の受取額 -
利息の支払額 -
法人税等の支払額 -
営業キャッシュフロー -
直接法 金額
営業収入 -
商品仕入支出 -
人件費支出 -
その他の営業支出 -
小計(直接法) -
利息の受取額 -
利息の支払額 -
法人税等の支払額 -
営業キャッシュフロー -
固定資産の取得支出 -
貸付による支出 -
その他の投資支出 -
投資キャッシュフロー -
短期借入による収入 -
短期借入の返済支出 -
株式発行による収入 500
長期借入による収入 -
財務キャッシュフロー 500
キャッシュフローの増減額 500
現金及び預金期首残高 -
現金及び預金期末残高 500

貸借対照表 (B/S)

金額 金額
現金及び預金 500 買掛金 -
商品 - 短期借入金 -
売掛金 - 預り金 -
前払費用 - 前受収益 -
流動資産合計 500 未払法人税等 -
建物 - 流動負債合計 -
工具器具備品 - 長期借入金 -
車両運搬具 - 固定負債合計 -
▲減価償却累計額 - 負債合計 -
有形固定資産合計 - 資本金 500
長期貸付金 - 利益剰余金 -
投資その他の資産合計 - 株主資本合計 500
固定資産合計 - 純資産合計 500
資産合計 500 負債・純資産合計 500
金額
現金及び預金 500
商品 -
売掛金 -
前払費用 -
流動資産合計 500
建物 -
工具器具備品 -
車両運搬具 -
▲減価償却累計額 -
有形固定資産合計 -
長期貸付金 -
投資その他の資産合計 -
固定資産合計 -
資産合計 500
金額
買掛金 -
短期借入金 -
預り金 -
前受収益 -
未払法人税等 -
流動負債合計 -
長期借入金 -
固定負債合計 -
負債合計 -
資本金 500
利益剰余金 -
株主資本合計 500
純資産合計 500
負債・純資産合計 500

損益計算書 (P/L)

金額
売上高 -
売上原価 -
売上総利益 -
役員報酬 -
法定福利費 -
広告宣伝費 -
消耗品費 -
減価償却費 -
販売費及び一般管理費 -
営業利益 -
受取利息 -
営業外収益 -
支払利息 -
創立費 -
営業外費用 -
経常利益 -
特別利益 -
特別損失 -
税引前当期純利益 -
法人税等 -
当期純利益 -

株主資本等変動計算書 (S/S)

株主資本合計
純資産
合計
資本金
利益
剰余金
株主
資本
合計
当期首残高 - - - -
新株の発行 500 - 500 500
当期純利益 - - - -
当期変動額合計 500 - 500 500
当期期末残高 500 - 500 500

Part1の概要

それぞれのページのまとめを記載しました。

ざっくりと取引の全体感を把握するため、ボタンを押下しながら、財務諸表の動く様子と図を同時に確認します。
取引が財務諸表になるまで5つのStepがあります。 画像は小さいので、詳細はページに飛んで確認し、ここではイメージだけつかんでください。

1/5

企業の3つの活動(営業・投資・財務活動)を数字で表したものが「財務諸表」です。
5つのStepの概要を確認し、具体的に練習問題を用いて内容を把握します。
ここでは、実際にボタンを押しながら、取引から財務諸表を作ってみます。難しいことはありません、ボタンを順番に押すだけです。
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書の4つの表は、それぞれがつながっています。 財務諸表を読み解いたり、理解するためには、このつながりを意識することが極めて重要です。
損益計算書の右側は、企業がある期間の間にお金をいくら稼いだかを表しています。 損益計算書の左側は、その収益を稼ぐためにお金をいくら費やしたかを表わしています。 それぞれを収益と費用といいます。 「報告式」という方を主に使います。
B/Sの右側では資金の調達元がだれか、その左側では調達した資金が何で運用されているかをあらわしています。
キャッシュフロー計算書は、B/Sの現金及び預金の増減明細表です。
株主資本等変動計算書は、B/Sの純資産の増減明細表です。

最後に

イントロダクションはこのくらいにして、まずは財務諸表がどうやってできるのかから確認していきましょう。

そのあたりはもうわかるといういう方は、Part2に進んでください。