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1.5. 財務諸表間の「つながり」

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書の4つの表は、それぞれがつながっています。
財務諸表を読み解いたり、理解するためには、このつながりを意識することが極めて重要です。

ただ、これから続く説明が冗長に感じられたら、 さくっと取引No1 : 出資金の払込に進んでください。
実際に、取引のパラメータを動かしながら、財務諸表のつながりを見た方が圧倒的にわかりやすい
はずです。

以下に、これから確認する取引のうち、会社を設立してから未払法人税の計上までの22個の取引が終わった段階の財務諸表を用意しました。

慣れないうちは、このつながりの図を映像として目に焼き付けてください。
ここに用意した取引例をすべてこなした後(おそらく半分くらいだけでも)、考えなくてもつながりが見えてくるようになります。
そうなると、財務諸表を立体的にとらえることができます。
たとえば、B/Sを見たときにC/Sはきっとこうだよな、とかなんとなく「あたり」が付けれられるようになっているはずです。

LINK① 株主資本等変動計算書の「利益剰余金」と貸借対照表の「利益剰余金」

ここからは、4つのつながりについてそれぞれ確認します。

まず1つ目。
貸借対照表(B/S)の資本金の期末残高「100」と利益剰余金の期末残高「467」は、
株主資本等変動計算書(S/S)の末尾にある資本金の当期末残高「100」と利益剰余金の当期末残高「467」と一致します。

簡単にいえば、「 B/Sの純資産は、S/Sとつながる」です。

株主資本等変動計算書(S/S)は、その名の通り、貸借対照表(B/S)の純資産の「増減明細表」です。 ここに期首から期末までの純資産の変動がすべて表示されます。

株主資本等変動計算書(S/S)の「等」には、株主資本以外の項目(例えば、その他有価証券評価差額金など)があります。 今回用意した取引例では、株主資本以外の項目を用意していないので、ここの株主資本等変動計算書(S/S)にも含めていません。

ある会計期間における純資産の変動が当期純利益だけなら、損益計算書(P/L)だけで何も問題ありません (損益計算書(P/L)が純資産の株主資本の「繰越利益剰余金」の「当期純利益」の増減明細表だからです)。

ただ、当期純利益以外に純資産の変動がある場合、貸借対照表の純資産の増減の内容が全くわからなくなってしまいます。

そこで、この株主資本等変動計算書で当期純利益以外の純資産の増減を漏れなく拾い上げ、貸借対照表とつなげます。

当期純利益以外の純資産の変動にはどんなものがあるでしょうか。

財務活動のうち、会社と株主との直接のやり取りで増減します。 たとえば、剰余金の処分です。
参照先 : 取引No25 : 翌期 - 配当金の支払

剰余金の処分として株主に対して、会社の儲けのいくらかを配当すれば、繰越利益剰余金が減ります(会社法が要請する一定の額まで、利益準備金を積み立てます)。 配当の他には、株主から出資を受けたとき(増資したとき)にも資本金が増えますね。今回資本金が増えているのは、設立時の出資にかかるものです。
参照先 : 取引No1 : 出資金の払込

また、株主資本には、「資本剰余金」もあります。これも今回の取引例では使わなかったので表には含めませんでした。 東京証券取引所のように、株式を上場させた会社では、株主との取引がよくあるので、純資産の項目には様々なものが並びます。

LINK② P/Lの「当期純利益」とS/Sの「繰越利益剰余金」

2つ目のつながり。

損益計算書(P/L)の「当期純利益 467」は、株主資本等変動計算書(S/S)の繰越利益剰余金の増減の内訳になります。
損益計算書(P/L)と株主資本等変動計算書(S/S)は、「当期純利益」を通してつながります

この例は事業年度は1年目なので、「当期純利益 467」がそのまま繰越利益剰余金の内訳「467」になっています。 この1年目の期末残高は、2年目の期首残高として引き継がれます。

2年目の損益計算書の当期純利益が「800」としたら、それを期首残高として繰り越された「467」に加算します。 「1,267」が繰越利益剰余金の2年目の期末残高になることに注目してください。

このように、 ある会計期間の儲けである当期純利益は、貸借対照表の「利益剰余金(繰越利益剰余金)」として、繰り越されていきます

LINK③ B/Sの「現金及び預金」残高とC/Sの「現金及び預金期末残高」

つながりの3つ目。

貸借対照表(B/S)とキャッシュフロー計算書(C/S)は「現金及び預金」を通じてつながります。
キャッシュフロー計算書(C/S)は、貸借対照表(B/S)の「現金及び預金」の増減明細表だからです。

ざっくりと言ってしまえば、キャッシュフロー計算書は、「現金及び預金」勘定の増減の中身を「3つの活動(営業・投資・財務)」に振り分け、プラスとマイナス表示に変えているに過ぎません。 「現金及び預金」勘定の借方金額は現金及び預金の+(プラス)、貸方金額は現金及び預金のー(マイナス)ですね。

厳密にいえば、実際の財務諸表のキャッシュフロー計算書(C/S)の末尾は、「現金及び預金期末残高」ではなく、「現金及び 現金同等物 期末残高」です。

ややこしいのですが、ここでいう「現金」には、手許にある現金と当座預金、普通預金、通知預金などの「預金」が含まれます。「現金同等物」とは、容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資のことです。具体的にいえば、取得日から満期日又は償還日までの期間が3か月以内の短期投資である定期預金などです。 このあたりの詳細は、別の機会にふれます。

LINK④ P/Lの「税引前当期純利益」と間接法C/Sの「税引前当期純利益」

つながりの4つ目。

営業キャッシュフローを間接法で作る場合、損益計算書の「税金等調整前当期純利益」からスタートします(LINK④)

この「税金等調整前当期純利益」に損益計算書の項目を足したり、引いたりしつつ、B/Sの営業キャッシュフローに関わるもの(例えば、営業債権債務など)の増減から営業キャッシュフローを算出します。
詳細 : 「キャッシュフロー計算書の構造

営業キャッシュフローを間接法で作るのに必要なのは、B/Sの期首と期末の増減です。 先ほど確認したように、営業キャッシュフローを直接法でつくるためには、「現金及び預金」勘定のすべての増減を集計しなければなりません。 しかし、間接法であれば、B/Sの増減でつくれるため、実務ではほとんどの場合、間接法で作ります。

詳細は後々、取引ごとに確認します。

まとめ

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書の4つのそれぞれがつながっていることを確認しました。

次は「損益計算書(P/L)」の構造を詳細に確認しましょう。