7.2.2. 貸倒引当金 - 決算
商品を売上げ、その代金を掛けとした場合、もしくは手形を受け取った場合発生した「売上債権」は、 得意先が倒産すれば、その債権の一部または全額が回収できなくなります。 このように、債権が回収できなくなること、これを「貸倒(かしだおれ)」といいます。
決算時において、債権の貸倒が予想されるときは、あらかじめその金額を見積もって「貸倒引当金繰入」勘定を使って、当期の費用に計上します。 このときの仕訳の右側は「貸倒引当金」勘定を使います。 この「貸倒引当金」勘定は「負債+」ではなく「資産ー」です。
引当(ひきあて)とは、将来の損失または支出に備えて、積み立てるという意味です。
それはちょうど、冬の寒さに備えて、暖炉にくべるために春先に薪を準備するのと同じです。
なぜ貸倒引当金は「負債+」ではなく、「資産ー」なのか?
負債とは、要するに第三者に対する債務のことです。つまり、将来的に、第三者に対し、金銭などの支出を伴うことにより、精算されます。
貸倒引当金は、会社の債権価値をマイナスに評価したものです。もし、得意先が倒産すれば、債権の一部または全額が回収できなくなるだけで、誰かに金銭を支払うわけではないため、「負債+」とはしません。
なお、この貸倒引当金は、資産から控除する形をとることから「評価性引当金」とよばれます。一方、貸倒引当金以外の引当金はすべて負債として計上されることから「負債性引当金」とよばれます。
貸倒引当金勘定の例題 - 1
貸倒引当金勘定の例題を確認しましょう。
解説です。
貸倒引当金を設定するときにはたとえば、得意先への売掛金600について、取引停止後、1年以上回収できておらず、その債権の回収見込みが低いと判断したなどが考えられます。この発生した費用は仕訳の左側「貸倒引当金繰入」勘定を使います。売掛金の残高をマイナスするために、仕訳の右側「貸倒引当金」勘定を使います。