7.2.5. 売上原価 - 決算
3分法では、商品を仕入れたときまだ売れてもいないのに、その全額を費用の発生として「仕入」勘定を使って記録しました。 実際に費用とすべきなのは、売上げた分だけです。 期末に売れ残った分を「仕入」勘定から、資産勘定の「商品」勘定へ振り替える必要があります。
なぜ、3分法では仕入時、費用計上するのか
そもそも商品を仕入れたとき、まだ売上げていないので費用とせず、資産の「商品」勘定を使って記録する方が自然です。
なぜ、3分法では、仕入れたとき費用(仕入)に計上してしまうのでしょうか。
記帳の手間が省けるからです。
八百屋にとってのリンゴのように、反復継続的に売買を行う商品については、 仕入れたときに前もって費用の発生として記録し、期末に棚卸しを行い、費用とし過ぎた分だけ資産の「商品」に振り替えたほうが記録の手間が省けます。
八百屋では1日に何種類も何十個も商品を仕入れ、売上げます。
でも、期末の棚卸は(非上場企業なら)365日のうち1日の1回だけで済みます。
圧倒的にこの方が楽です。
売上原価勘定の例題
売上原価勘定の例題を確認しましょう。
例題
決算において、売上原価を算定する。期首の商品在庫はゼロ、期末の商品在庫は100であった。なお、期中の商品売買の記帳方法は「3分法」。
1. この取引で増減するのはどの要素?
左側(借方)
右側(貸方)
2. その勘定科目と金額は?
借方科目と金額
貸方科目と金額
解説です。
期末の商品在庫残高100分を「仕入」勘定(費用)から「商品」勘定を使って資産へ振り替え、翌期に繰り越します。こうすることで損益計算書上、費用と収益が対応し、その儲けがきちんと記録されます。