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人間の認知に沿ったレイアウト

ビジネスをする方なら誰でも知っておくべきことの一つに、デザインがあります。

「アートは自己表現、デザインは問題解決」という言葉があるように、専門的に勉強しなくても手軽にデザインは学べます。 特に、ゲシュタルトの法則は、図解を作成する際に役立つルールです。

ゲシュタルトの法則とは

ゲシュタルト心理学は、1900年代初頭に、人間がどのように周りの世界の秩序を認知するのかを示しました。

この法則は、人々が視覚刺激をどのように受け取り、秩序を見出すのかを説明しており、今日でも受け入れられています。

ゲシュタルトの法則には、以下の6つがあります。

  1. 近接(Proximity):
    物理的に近くにあるものを同じグループに属するものとしてとらえる傾向がある。
  2. 類似 (Similarity):
    類似の色、形状、サイズ、向きを持つもの同士を同じグループとしてとらえる。
  3. 囲み (Enclosure):
    物理的に一緒に囲まれているものを同じグループとみなす。
  4. 閉合 (Closure):
    個々の集合体をすでに知っているわかりやすい形としてとらえようとする。
  5. 連続性 (Continuity):
    あるものを見たときに、最も自然な形を追求し、明らかに存在しない場合でも連続性を作り出す。
  6. 接続 (Connection):
    線などで物理的につなげられているオブジェクト同士を同じグループの一部とみなす。

これらの法則の強さは状況によって異なりますが、一般的には以下の順番だと考えられています。
囲み > 連続性 > 接続 > 類似 > 近接

ゲシュタルトの法則の活用方法

ゲシュタルトの法則を理解し、適切に活用することで、視覚的に優れたデザインを作成できます。例えば、以下のような方法があります。

  • 近接と類似を利用して、情報のグループ化を明確にする
  • 囲みを利用して、グラフ内の要素を視覚的に区別する
  • • 閉合と連続性を利用して、不必要な要素を削除し、データを際立たせる
  • 接続を利用して、グラフ内のデータの順番を示す

また、これらの法則は単独で使用されるだけでなく、複数の法則を組み合わせることで、より効果的なデザインを作れます。

近接(Proximity)

人は近くにあるものをグループとしてみなす傾向にあります。 要素同士が近ければそれをグループとみなします。

要素同士が近いとそれをグループと認識しますので、行に見えたり、列に見えたりします。

エクセルでも要素を近づけたり、遠ざけたりするだけで、グループ関係を簡単に作れることがわかります。 たとえば、列幅を「1」にする列を3つ間に挟むことで、グループ化ができます。

類似(Similarity)

人は類似の色、形状、サイズ、向きをもつもの同士をグループとしてみなす傾向にあります。

近接でグループ化した上に、そのグループ間の要素同士の関係性を明らかにできます。

近接よりも類似色が優先される関係を覚えておくと活用しやすくなります。

接続(Connection)

人は線でつなげられたものをグループとみなす傾向にあります。 線で要素間をつなぐことで、グループ化できます。線で視線の動きを作ることもできます。

以下の事例では、色付けの類似によるグループ化よりも、線でつながれた方がより強いグループ化がなされていることがわかります。

囲み(Enclosure)

人は囲まれているものをグループとしてみなす傾向にあります。

近接によってグループ化されていても、囲ってしまえばグループ化できます。
場合によっては2軸で整理した図解にさらにもう1軸足したい場合などに使用できます。
ただ、多くの人は3次元で物事を考えることになれていないため、あまり多用しないほうが良さそうです。

囲みは線でなくても、グレーの影だけでも十分です。

以下の事例では、囲みが他の近接や類似よりも強いことを表しています。
青で類似の関係を作っていても、線で接続していても、囲ってしまえば、囲われた点がグループとしてみなされますね。
囲み>線>色という関係です。

閉合(Closure)

閉合の法則は、人間の目が自然と全体の形を認識しようとする性質を利用しています。グラフの境界線や背景色は、データの理解には直接関係のない要素です。これらを取り除いても、グラフの形は維持されます。むしろ、不要な要素を削除することで、データ自体がより際立って見えるようになります。

閉合の法則は、エクセルの表においても、不要な罫線を削除する際に応用できます。例えば、表の外枠の罫線を削除しても、データのまとまりは維持されます。これは、人の目が自然とデータの集合を一つのグループとして認識するためです。

また、表の内部の罫線も、必要最小限に留めることで、データの可読性が向上します。罫線が多すぎると、かえってデータが読みづらくなってしまいます。閉合の法則を意識して、不要な罫線を削除することで、データがより際立って見えるようになります。

連続性(Continuity)

連続性の法則は、人間の目が自然と連続した形を追求する性質を利用しています。グラフの縦軸を完全に削除しても、ラベルとデータの間に等間隔の余白があれば、棒グラフが同じ基準線に並んでいるように見えます。これにより、グラフがすっきりとし、データがより強調されます。

連続性の法則をエクセルの表に当てはめると、数値の右揃えが良い例となります。例えば、金額データを右揃えにすることで、数値の位置が揃い、縦方向に一直線上に並びます。これにより、数値の大小関係が一目で分かりやすくなります。

また、右揃えにすることで、数値の桁数が異なる場合でも、位取りが揃うため、数値の比較がしやすくなります。これは、連続性の法則が示す「人の目は自然と連続した形を追求する」性質を利用しています。

さらに、数値を右揃えにすることで、縦の罫線(縦軸)が不要になる場合もあります。数値の位置が揃っていれば、罫線がなくても数値の並びが明確に認識できるからです。これは、連続性の法則と閉合の法則が組み合わさった効果と言えます。

まとめ

ゲシュタルトの法則は、人間の視覚認知のメカニズムを理解するための重要な概念です。
これらの法則を理解し、適切に活用することで、情報を効果的に伝え、ユーザーの理解を促せます。
また、ゲシュタルトの法則は、デザインだけでなく、UIやUXの分野でも活用されています。
ユーザーの自然な認知に沿ったデザインを行うことで、使いやすさを向上できます。

どれが強い法則なのかを知っておくことで仕事に役立てることができますね。
囲み>線(接続)>色、近接の順でした。どうしても困ったときは、囲ってみましょう。
これを期に、デザインの勉強をはじめてみてはいかがでしょうか。

参考文献

  • 「Google流 資料作成術」
  • 「UIデザインの心理学―わかりやすさ・使いやすさの法則」
  • 「なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉」