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はじめに

本コンテンツは、日商簿記3級の合格を目指す方のうち、簿記なんてめんどくさくてやってられないという方のために作っています。
今は準備中ですが、問題集編を用意していますので、いちいち紙面に仕訳を手書きするような手間からも解放され、かつ、帳簿のつながりも見てわかるようになります。
また、ここをざっくりと見た後で日商簿記3級の参考書や問題集などを読めば、スッと理解できるはずです。

※なお、「 会計・簿記入門編 」の内容と一部重複する箇所があります。 「 会計・簿記入門編 」で、基礎的なことを丁寧に解説しています。ぜひこちらも隙間時間にのぞいてみてください。

これが決算書(財務諸表)です。これの仕組みを実際に作りながら解き明かすのが簿記です。

いきなりですが下の3つの表、これら何かご存知でしょうか?
企業の業績などが記載された、これがいわゆる「決算書(財務諸表)」というものです。

これから学習する内容はこの「決算書の作り方」です。
この3つの表の数字から皆さん、どんな企業の活動が読み取れますか???試しに、30秒くらい数字を眺めて、妄想してみてください。
決算書を読むには、妄想力が欠かせません。

貸借対照表 (B/S)
金額 金額
現金 - 買掛金 300
普通預金 700 短期借入金 -
商品 100 流動負債合計 300
流動資産合計 800 固定負債合計 -
- - 負債合計 300
- - 資本金 300
- - 利益剰余金 200
- - 株主資本合計 500
固定資産合計 - 純資産合計 500
資産合計 800 負債・純資産合計 800
損益計算書 (P/L)
金額
売上高 400
売上原価 200
売上総利益 200
販売費及び一般管理費 -
営業利益 200
営業外収益 -
営業外費用 -
経常利益 200
特別利益 -
特別損失 -
税引前当期純利益 200
法人税等 -
当期純利益 200
株主資本等変動計算書 (S/S)
株主資本合計 純資産合計
資本金 利益剰余金 株主資本合計
当期首残高 - - - -
新株の発行 300 - 300 300
当期純利益 - 200 200 200
当期変動額合計 300 200 500 500
当期期末残高 300 200 500 500

正解は無数にあり得ますが、1つの正解として、これは、
資本金300円で会社を設立し、100円のリンゴを3つ仕入れ、200円で2つ売上げた結果、1つを在庫として保有する」という取引を経た企業の財務諸表です (単位の円は無視してもよいです)。
なかなか面白いですよね、決算書。

そんな面白くないですか?ここで面白くない場合、そっとこのページを閉じてください。簿記なんて奇特なことを覚えなくても、日本で生まれれば、ある程度幸せに生きていけます。

「習うより慣れよ」。まずはボタンを押して簿記を体感。

さっそくなのですが、以下のボタンをポチポチと押してみて何が起きるかを確認してみてください。
この「 資本金300円で会社を設立し、100円のリンゴを3つ仕入れ、200円で2つ売上げた結果、1つを在庫として保有する」取引を使って、さっそく財務諸表(決算書)を作ってみましょう。

単純な取引例です。小学校低学年の算数の問題よりも簡単です。

これから長い説明をさんざんすることになります。つまらなくなり投げ出したくなるときもやがて訪れます。
ですが、以下のボタンで押下して起こることがこれから学習することのほぼすべてです。
簿記の計算構造そのものは極めてシンプルです。簿記が複雑で難しいのではなく、企業の活動が多種多様なため、それらの取引を抽象化し、仕訳にするのが面倒なだけです。

これはとっても大事なポイントなので、繰り返します。
簿記の計算構造そのものは、極めてシンプル です。

取引内容
No 取引内容
#1 資本金300で会社を設立し、その全額を普通預金に預け入れた
#2 アゴヒゲ社より商品300(数量3個、仕入値@100)を仕入れた。代金の全額を掛けとした(3分法を前提)
#3 商品2個を200(売値@200)で売上げ、普通預金口座に売上代金400の入金があった(3分法を前提)
#4 決算整理を行い、手元の在庫100について、仕入勘定から商品勘定に振り替えた

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期中:STEP 1
仕訳帳に取引を記録。

上記の「取引」をボタンを押下して「取引」を仕訳帳に記録してください。
取引毎に仕訳を勘定に記録していくことにします。

仕訳帳
日付 摘要 借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
期中:STEP 2
総勘定元帳に仕訳を記録。
決算:STEP 3
決算整理前試算表を総勘定元帳から作成。
合計残高試算表(T/B)
勘定科目借方貸方残高
普通預金 - - -
商品 - - -
買掛金 - - -
資本金 - - -
売上 - - -
仕入 - - -
合計 - - -
期末:STEP 4-1
決算取引を仕訳に記録。

決算整理仕訳を仕訳帳に追加します。
なお、仕訳帳が2つあるのではなく、Step1で使った仕訳帳と同一のものに追加します。

仕訳帳
日付 摘要 借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
STEP 4-2
総勘定元帳に仕訳を記録。

STEP 4-3
決算整理後試算表を作成。

合計残高試算表(T/B)
勘定科目借方貸方残高
普通預金 - - -
商品 - - -
買掛金 - - -
資本金 - - -
売上 - - -
仕入 - - -
合計 - - -
STEP 5
財務諸表(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書)を試算表から作成。
貸借対照表 (B/S)
金額 金額
現金 - 買掛金 -
普通預金 - 短期借入金 -
商品 - 流動負債合計 -
流動資産合計 - 固定負債合計 -
- - 負債合計 -
- - 資本金 -
- - 利益剰余金 -
- - 株主資本合計 -
固定資産合計 - 純資産合計 -
資産合計 - 負債・純資産合計 -
損益計算書 (P/L)
金額
売上高 -
売上原価 -
売上総利益 -
販売費及び一般管理費 -
営業利益 -
営業外収益 -
営業外費用 -
経常利益 -
特別利益 -
特別損失 -
税引前当期純利益 -
法人税等 -
当期純利益 -
株主資本等変動計算書 (S/S)
株主資本合計 純資産合計
資本金 利益剰余金 株主資本合計
当期首残高 - - - -
新株の発行 - - - -
当期純利益 - - - -
当期変動額合計 - - - -
当期期末残高 - - - -

※簿記検定試験は紙面の帳簿を前提にします。 したがって、私がプログラムで実装したことを実は、皆さんはこれから紙面を前提にした帳簿でやらないといけません。 21世紀になってもなお、です。これが日商簿記検定です。 実務では、クラウド会計ソフト(FreeeやMFや弥生会計など)が普及しており、そのおかげで紙面の帳簿をほとんど意識することなく、銀行アカウントと連携したりなどの一工夫入れるとほぼ自動で帳簿ができあがります。

いまやったことには、5つのStepがありました。

取引が財務諸表になるまでに、大きく5つのステップがあります。

いまボタンを押下しながら確認したことを図にしてざっくりとまとめるとこのスライドのようになります。
簿記を学習中は、木を見て森を見ず状態になりがちなため、いつの(期中 or 期末(決算))、どこの帳簿の(仕訳、勘定、試算表、B/S・P/Lなど)、 何をやっているかという全体像を常に意識し、全体像をつかもうとすることが極めて大切です(詳細は後述)。

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詳細は後述しますが、上図をStep毎にさらに詳細に解説すれば、以下のようなイメージです。

文字が多くて忘れそうになりますが、 これは「資本金300円で会社を設立し、100円のリンゴを3つ仕入れ、200円で2つ売上げた結果、1つを在庫として保有する」という単純な取引を どうやって帳簿に記録するかの話です。

STEP 1 - 期中取引を仕訳に変換
まず、期中の取引をざっと仕訳に変換すると以下のような仕訳になります。 簿記はこのStep1が1番のポイントです。取引を仕訳に変換できれば、あとはパズルと同じです。
STEP 2 - 期中仕訳を勘定に転記
次に、この仕訳をざっと 勘定に転記 すると以下のように勘定にまとめられます。 仕訳の左と右の勘定科目の金額をそれぞれを勘定の左と右に書き写せばよいだけです。
STEP 3 - 勘定から試算表を作成
各勘定の残高を試算表に書き写せば、 残高試算表(決算整理前)の完成です。 試算表の左側と右側の合計が一致したので、適切に転記できたことが確認できます。
STEP 4-1 - 決算整理を実施(決算整理仕訳を追加)
商品を仕入れたとき、まだ売れていないのにも関わらず、その全額を「仕入(費用の勘定科目)」勘定を用いて処理しました。 そのため、期末の商品の売れ残りを「仕入」勘定から「商品(資産の勘定科目)」勘定に振り替えなければなりません。
STEP 4-2 - 決算整理を実施(追加仕訳を勘定に転記)
期中仕訳はすでに勘定に転記し終えています。 追加した決算整理仕訳を勘定に転記し、残高を計算します。
STEP 4-3 - 決算整理を実施(勘定から試算表を作成)
各勘定の残高を試算表に書き写せば、残高試算表(決算整理後)の完成です。 試算表の左側と右側の合計が一致し、適切に転記できました。
STEP 5 - 試算表から財務諸表を作成
貸借対照表には資産・負債・純資産の勘定科目を集め、 損益計算書には費用・収益の勘定科目を集め、表示を適当な名称に変更すれば、完成です。

実はここまでで、ほぼすべての主要なポイントの解説が終わりました。おめでとうございます。
まだたくさん目次があるように見えますが、残りの80%くらい(Part2からPart16まで)はすべてStep1の「取引」を「仕訳」に変換する話です。
簿記は極めてシンプルなのですが、企業の活動は複雑で多種多様なため、取引を抽象化し、仕訳というシンプルな形にどうやって落とすのかということをこれから時間を使って学習していきます。

※「企業の活動は複雑で多種多様」というところは、重要です。 なぜなら、ITの力で富を創出できるようになった21世紀において、必ずしも「企業会計の物差し」では測定できない価値や富が生まれているからです。 言い換えれば、時代の変化のスピードが早すぎて「会計のものさし」が時代遅れになりつつあります。 ITの力で富を創出できる21世紀において、紙面を前提にした簿記の仕組みを紙面だけで学習するというパラドックスに思いをはせてみてください。 その葛藤があるため、私自身このようなWebアプリを作って紙面に限らず、アプリによるインタラクティブな学習のサポートをしています。
参考リンク:会計では、企業の全ての価値を測ることができない

全体の構成

まず、Part1では、会計とはなにかを解説し、財務諸表の概要と簿記全体の流れについてみていきます。
Part2から16はまとまった切り口毎に、主に期中の取引について、具体的な取引をどうやって「仕訳」に落としていくかを確認します。
Part17で決算取引についての確認します。
Part18で帳簿を詳しく解説します。

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まず、Part1では、会計とはなにかを解説し、財務諸表の概要と簿記全体の流れについてみていきます。

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Part2から16はまとまった切り口毎に、主に期中の取引について、具体的な取引をどうやって「仕訳」に落としていくかを確認します。

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Part17で決算取引についての確認します。

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Part18で帳簿を詳しく解説します。

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簿記の流れのまとめ図

以下は、取引から財務諸表ができあがる簿記の流れです。Step1からStep5まであります。

各Stepの詳細は、各章で確認しますが、これから何をやっていくのかという全体像を先に頭の片隅にいれておくとよいです。

では、Part1の会計の基礎知識から始めていきましょう!