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貸倒れと貸倒引当金

貸倒れとは

取引先の倒産などにより、取引先に対する「売掛債権」や「手形債権」が回収できなくなることがあります。
この債権が回収できなくなった状態のことを「 債権が貸し倒れた 」といったりします。 取引先が飛んだ!とかも聞いたりします。

商品売上代金を掛けにしたり、手形を受け取ったりすることを「信用取引」と言ったりしますが、まさに取引先の信用力があっての掛けや手形取引です。
掛けや手形取引を行う場合、相手の信用力を見誤ると大変痛い目にあいます。 最初の与信管理が極めて重要です。十分に気を付けましょう。

まとめ図

早速ですが、貸倒引当金の論点まとめです。

当期に発生した債権の貸倒れは「貸倒損失」と記録

まず、x1期に商品を売り上げ、売掛債権が発生したところから確認しましょう。 商品を売上げれば、儲けが計上されます(商品仕入原価は150とします)。

当期に発生した債権の貸倒れは「貸倒損失」と記録します。

この得意先に対する債権300が貸し倒れた、つまり、結局のところ仕入れた商品をタダで上げたという結果が、損益計算として反映されることになります。

このように、 発生と貸倒れのタイミングが同じ会計期間内であれば、「貸倒損失」をx1期の損失として記録しても、特に問題ありません

まず、x1期に商品を売り上げ、売掛債権が発生したところから確認しましょう。 商品を売上げれば、儲けが計上されます(商品仕入原価は150とします)。

当期に発生した債権の貸倒れは「貸倒損失」と記録します。

この得意先に対する債権300が貸し倒れた、つまり、結局のところ仕入れた商品をタダで上げたという結果が、損益計算として反映されることになります。

このように、 発生と貸倒れのタイミングが同じ会計期間内であれば、「貸倒損失」をx1期の損失として記録しても、特に問題ありません

会計期間を1年間と人為的に区切っているため、「いつ取引が発生したのか」は、常に問題になります。

損失はx1期に発生したのでしょうか。x2期に発生したのでしょうか。 次は、そんなことを確認します。

いつ損失の発生を記録するかが問題になる!

次に、この図の例のように、期をまたぐ場合はどうでしょうか。

x1期に商品を売り上げ、儲けが150発生しています。 決算時にもう得意先が倒産寸前で債権が貸倒れそうということがわかったとします。 このまま決算を行えば、儲けが計上されてしまいますが、このままでよいのでしょうか。

でも、そのままいきましょうか。

X2期になり、予想通り得意先が倒産し、債権300が貸倒れました。

この場合、x2期において、貸倒損失を計上してしまうと、「適正な期間損益計算」ができません。 取引実体は「タダで商品をあげた」だけなのに、まるでx1期において利益がでたことになってしまいます。

何が問題かといえば、x1期の利益を元に株主への配当が決まるためです。 倒産寸前ということがわかっていたのですから、x1期にそれを認め、x1期に費用計上しなければ、x1期の利益が過大に計上されてしまい、ひいては会社の利益が過大に配当されかねません。

次に、この図の例のように、期をまたぐ場合はどうでしょうか。

x1期に商品を売り上げ、儲けが150発生しています。 決算時にもう得意先が倒産寸前で債権が貸倒れそうということがわかったとします。 このまま決算を行えば、儲けが計上されてしまいますが、このままでよいのでしょうか。

でも、そのままいきましょうか。

X2期になり、予想通り得意先が倒産し、債権300が貸倒れました。

この場合、x2期において、貸倒損失を計上してしまうと、「適正な期間損益計算」ができません。 取引実体は「タダで商品をあげた」だけなのに、まるでx1期において利益がでたことになってしまいます。

何が問題かといえば、x1期の利益を元に株主への配当が決まるためです。 倒産寸前ということがわかっていたのですから、x1期にそれを認め、x1期に費用計上しなければ、x1期の利益が過大に計上されてしまい、ひいては会社の利益が過大に配当されかねません。

この期間損益のズレを「貸倒引当金」を使って解決。

でも取引先の倒産が予測できるわけないのに、どうやって会計処理するのか?

会計では、このような貸倒損失が発生しそうな(将来の特定の費用または損失であり、かつ、 その発生が当期以前の事象に起因する)場合に限り、決算において「合理的に」「見積もり」計算して、 ×1年の段階であらかじめ費用を計上することにしています。

このあらかじめ費用を計上すること、これを「引き当てる」というような言い回しで表現します。

※「引き当て」という言葉、あまり最初慣れないと思います。 たとえば、厳しい冬が予想されるため、それに備えて事前に秋に薪を小屋に「引き当てる」や、 初期のプロモーションがうまくいき、来月分の店頭在庫が切れそうなので、その分の在庫をいまのうちに「引き当てる」などのイメージです。 過去やったことが原因で、将来のロスが見込まれる場合に、それに備えて、このくらいかなと見積もって準備しておくことです。

そこで、決算整理を行うときに、あらかじめ取引先の経営状況をみて、貸倒れしそうな債権については、引き当てを設定します。 これが「 貸倒引当金 」勘定(負債)です。 このとき、仕訳の左側は「 貸倒引当金繰入 」勘定として費用になります。

こうすれば、実際に貸倒れが発生しても、負債に計上した貸倒引当金を取り崩すことで、x2期への影響がなくなります。

このように、貸倒引当金は「適正な期間損益計算」のために決算において見積もって計上するものです。

そこで、決算整理を行うときに、あらかじめ取引先の経営状況をみて、貸倒れしそうな債権については、引き当てを設定します。 これが「 貸倒引当金 」勘定(負債)です。 このとき、仕訳の左側は「 貸倒引当金繰入 」勘定として費用になります。

こうすれば、実際に貸倒れが発生しても、負債に計上した貸倒引当金を取り崩すことで、x2期への影響がなくなります。

このように、貸倒引当金は「適正な期間損益計算」のために決算において見積もって計上するものです。

会計・簿記をやっているとこの「適正な期間損益計算」という言葉によく出くわすことになります。

これは会計では、人為的に1年間と会計期間を設定することから、いったい いつの損益にすべきか が常に問題になるからです。

こうして計算した1年間の儲けから株主への配当を決定するためです。 みんな今年の自分の取り分がいくらになるのか知りたいのです。
x2期に株主になった人からみれば、x1期に発生した取引の損失をx2期に持ってくるとは何事か!と怒るわけです。

※もし、この引当金の考え方がなければ、x1期に倒産しそうな会社に商品を売りまくり利益を作って企業価値を上げ、かつ、配当し、x2期に新しく株主になった人は、貸倒れによって大損することになります。

日商簿記3級の出題対象

上記では説明のし易さから、個別の債権に対して、貸倒引当金を設定するのを確認してきました。
しかしながら、以下の図のように、 簿記3級では、個別に貸倒引当金を設定する問題は出題されません。

その代わり、 貸倒れのリスクが低い(正常な債権)に対して、過去の貸倒実績率から貸倒引当金を設定する「実績率法」が出題されます。 この図の詳細な解説は、補足_貸倒引当金で解説しますので、興味があれば確認してください。

貸倒引当金の設定方法

売上債権(受取手形や売掛金)残高 × 貸倒実績率 = 貸倒引当金

※簿記検定3級では、「貸倒実績率」は「3%」などと問題文に与えられるため、計算の必要はありません。

実績率法の計算方法

具体的に確認しましょう。
結論からいえば、簿記検定3級では、この貸倒実績率は3%などと与えられます。したがって、試験合格だけを考えれば、ここは読み飛ばしてください。

ただ、いずれ2級などで学習することですし、日商簿記試験だけのために会計・簿記を学習しているわけではないはずですので、ここは詳細に見ていきます。

実際に、一般債権の中から、翌期にいくら貸し倒れるかは誰にもわかりませんが、 過去に実際に貸し倒れた金額と売上債権の残高から貸し倒れ実績率を計算して、 来年分を引き当てる(見積もる)ことになります。数字は簡略化していますが、以下の図はそのイメージです。

差額補充法と洗い替え法

貸倒引当金の計上方法には「 差額補充法 」と「 洗い替え法 」の2つの方法があります。

貸倒引当金を要引当額まで計上するという結果は同じですし、損益影響金額も同じになります。 しかし、差額だけを計上するか、いったんすべてゼロまで戻し、要引当額を全額計上するかの違いがあります。

差額補充法
差額補充法は、計上前の貸倒引当金の残高と設定した貸倒引当金の差額を貸倒引当金に追加する方法です。
洗替法
洗替法は、計上前の貸倒引当金の残高をいったん戻し入れ、計算した貸倒引当金の要引当額の全額を計上する方法です。
なお、当期の設定額が計上前の残高を下回る場合もありますが、その場合は、「貸倒引当金戻入」勘定を使います。
差額補充法
差額補充法は、計上前の貸倒引当金の残高と設定した貸倒引当金の差額を貸倒引当金に追加する方法です。
洗替法
洗替法は、計上前の貸倒引当金の残高をいったん戻し入れ、計算した貸倒引当金の要引当額の全額を計上する方法です。
なお、当期の設定額が計上前の残高を下回る場合もありますが、その場合は、「貸倒引当金戻入」勘定を使います。

貸倒処理済みの債権を回収したら

債権を直接減額後(貸倒損失処理後)に、一部の債権を回収できることがあります。

前期以前に貸倒れ処理した債権を回収すれば、「償却債権取立益」勘定で収益の+として記録します。

当期に貸倒れ処理した債権を回収すれば、「貸倒損失」勘定を修正します。
これは期中に貸倒損失しすぎた(全額損失ではなくなったため)です。
なお、期中の処理はこのように費用に「貸倒損失」を計上しています。これの修正が上記です。
当期に貸倒れ処理した債権を回収すれば、「貸倒損失」勘定を修正します。
これは期中に貸倒損失しすぎた(全額損失ではなくなったため)です。
なお、期中の処理はこのように費用に「貸倒損失」を計上しています。これの修正が上記です。

次は、具体的な会計処理を確認しましょう。