仕入と売上のまとめ
ここまでのまとめをざっくりとします。
「仕入れたリンゴに儲けを乗せて、売上げる」のはどの取引も同じでした。
違っていたのは、仕入代金と売上代金をいつ決済する(した)のかです。
商品仕入・売上と代金決済のタイミングの違いで取引先との間で「債権(権利)・債務(義務)」が発生したり、しなかったりします 。
仮に、このタイミングのズレが同日内であれば、会計上は、同日に処理され、債権債務が発生することはありません。
現金仕入と現金売上
商品仕入・売上と代金決済のタイミングが同時であれば、取引先との間で「債権(権利)・債務(義務)」が発生しません。
掛け仕入と掛け売上
このパターンは、商品の移動の後に、代金決済されるところがポイントです。
掛け仕入
掛けで仕入れる場合、代金決済のタイミングは後日です。
なので、取引先に対し「後日、仕入代金を支払う義務(買掛債務)」が発生しました。
商品仕入とその代金決済のタイミングが異なる点が、現金仕入との違いです。
2つの取引が同日内の出来事であれば、Q001の現金仕入の仕訳と同じになる点に注目してください(以下、Q001の再掲)。
掛け売上
掛けで売上げる場合、代金決済のタイミングは後日です。
なので、取引先に対し「後日、売上代金を受け取る権利(売掛債権)」が発生しました。
商品売上とその代金決済のタイミングが異なる点が、現金売上との違いです。
2つの取引が同日内の出来事であれば、Q006の現金売上の仕訳と同じになる点に注目してください(以下、Q006の再掲) 。
仕入代金の前払と売上代金の前受
このパターンは、商品の移動よりも 先に、代金決済されるところがポイント です。
仕入代金の前払
仕入代金を前払いし、後日、商品を受け取る場合、商品の受け取りより先に代金が決済されます。
これにより、取引先に対して「 後日、商品を受け取る権利(前払債権) 」が発生しました。
仕入代金決済と商品仕入のタイミングが前後反対になっている点が、掛け仕入との違いです。
この権利は「後日、 商品 を受け取る権利」であり、金銭債権(後日、お金を受け取る権利)ではありません。
売掛金と前払金はともに資産ですが、掛け売上で発生した「売掛債権(売掛金)」とは性質が異なります。
財務諸表を分析するさいに、考慮する視点のうちの1つです。
なお、2つの取引が同日内の出来事であれば、Q001の現金仕入の仕訳と同じになる点に注目してください。
売上代金の前受
売上代金を前受けし、後日、商品を引き渡す場合、商品の引き渡しより先に代金が決済されます。
これにより、取引先に対して「 後日、商品を引き渡す義務(前受債務) 」が発生しました。
売上代金決済と商品引き渡しのタイミングが前後反対になっている点が、掛け売上との違いです。
仕入代金の前払いと同様に、この義務は「後日、商品を引き渡す義務」であり、金銭債務(後日、お金を支払う義務)ではありません。
買掛金と前受金はともに負債ですが、掛け仕入で発生した「買掛債務(買掛金)」とは性質が異なります。
また、2つの取引が同日内の出来事であれば、Q006の現金売上の仕訳と同じになる点に注目してください(以下、Q006の再掲)。