商品券取引概要
取引概要でも確認しましたが、もう一度、商品件の取引概要から確認していきましょう。
1つ目は、商品券を 当社が発行した 場合の取引概要とその会計処理を確認します。
2つ目は、他社発行の商品券を受け取った 場合のその取引概要とその会計処理の確認です。
3つ目は、実際の企業(株式会社近鉄百貨店)のB/Sをみて、最終的にどう報告されるのか確認しましょう。
なお、当社が商品券を発行する場合の会計処理は、日商簿記検定3級の範囲からは除外されました(1級に移りました)。
しかしながら、比較して理解した方がわかりやすいため、ここでは一緒に解説してしまいます。
当社が商品券を発行_取引概要
商品券発行側の処理です。これが日商簿記検定3級の範囲ではなくなったのですが、債権・債務の関係は頭に入れておくと整理しやすいので紹介します。
当社が商品券を発行_会計処理
前受金の会計処理とほぼ同じです。今回は、商品券という紙切れを発行しているので、使う勘定科目が違うことに注目してください。
重要なポイントなので、「買掛金」勘定と「前受金」勘定と「商品券」勘定の3つの勘定科目の違いをおさらいします。
買掛金勘定は「後日、仕入代金を支払う義務」のことでした。 一方、前受金と商品券勘定は、「後日、商品(もしくはサービス)を引き渡す義務」のことでした。 将来、出ていくものが、「カネ」なのか「モノ」なのかの違いがあります。
他社発行商品券を受取_取引概要
他社発行商品券を受取_会計処理
事例:株式会社近鉄百貨店
最後に、実際の企業(株式会社近鉄百貨店)のB/Sをみてみましょう。
連結貸借対照表の負債の部を見てみると、「商品券」が約88億円あります。
「受取商品券」勘定は、B/Sにはありませんが、売掛金に含めて表示しているようです。
他社発行商品券の受取_売上計上時
Q-021_商品券 - 他社商品券の受取(売上計上)
売上代金として、他者が発行した「商品券」を受け取れば、後日、その商品券分の現金を受け取る権利(債権)が発生します。 これは、他者が振り出した(発行した)約束手形を受けとれば、後日、手形に記載の金額を受け取る権利が発生することと同じです(約束手形であれば「受取手形(資産)」として記録します)。
受け取った商品券は債権なので、仕訳の左側に「資産の+」として「受取商品券」勘定を使い記録します。
この債権は、商品を売上げて得たものなので、仕訳の右側に「売上(収益の+)」と記録します。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年5月9日 | 受取商品券 | 600 | 売上 | 600 |
Q-022_商品券 - 他社商品券の精算
現金及び預金の動きに注目しましょう。この取引では現金が増えます。 仕訳の左側に「資産の+」として、「現金」と記録します。
商品券を現金と交換すれば、債権は精算されるので、仕訳の右側に「資産のー」として「受取商品券」と記録します。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年6月30日 | 現金 | 600 | 受取商品券 | 600 |
他社発行商品券のまとめ - 一連の流れ
掛けで売上げる場合と同様、代金決済のタイミングは後日です。
ですので、「後日、商品券と引き換えに、売上代金を受け取る権利(債権)」が発生します。