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商品券取引概要

取引概要でも確認しましたが、もう一度、商品件の取引概要から確認していきましょう。

1つ目は、商品券を 当社が発行した 場合の取引概要とその会計処理を確認します。
2つ目は、他社発行の商品券を受け取った 場合のその取引概要とその会計処理の確認です。
3つ目は、実際の企業(株式会社近鉄百貨店)のB/Sをみて、最終的にどう報告されるのか確認しましょう。

なお、当社が商品券を発行する場合の会計処理は、日商簿記検定3級の範囲からは除外されました(1級に移りました)。
しかしながら、比較して理解した方がわかりやすいため、ここでは一緒に解説してしまいます。

当社が商品券を発行_取引概要

商品券発行側の処理です。これが日商簿記検定3級の範囲ではなくなったのですが、債権・債務の関係は頭に入れておくと整理しやすいので紹介します。

まずは、商品券を発行した企業側(百貨店とします)の取引概要を確認します。
百貨店は、顧客から代金を受取り、それと引き換えに商品券を発行します。百貨店は顧客に対し、後日、商品を引き渡す義務を負い、商品券を持つ顧客は後日、商品を受け取る権利を得ます。
後日、顧客が商品券を持ち込み、百貨店が商品を引き渡せば、両社の債権と債務は清算されます。
まずは、商品券を発行した企業側(百貨店とします)の取引概要を確認します。
百貨店は、顧客から代金を受取り、それと引き換えに商品券を発行します。百貨店は顧客に対し、後日、商品を引き渡す義務を負い、商品券を持つ顧客は後日、商品を受け取る権利を得ます。
後日、顧客が商品券を持ち込み、百貨店が商品を引き渡せば、両社の債権と債務は清算されます。

当社が商品券を発行_会計処理

前受金の会計処理とほぼ同じです。今回は、商品券という紙切れを発行しているので、使う勘定科目が違うことに注目してください。

百貨店を当社に置き換えて、会計処理を確認しましょう。 商品券発行時、お金が600増えるので、仕訳の左側、 「現金」勘定を増やします
商品を引き渡す前に代金を受け取れば、前受債務が発生します。
この債務は前受金勘定と区別するため、「商品券」勘定を使って記録します
次に、商品券と商品を交換した場合を確認しましょう。 商品を売上げることで、商品を引き渡す義務がなくなります。 得意先に商品を売上げたので、仕訳の右側「売上」勘定を増やします。
百貨店を当社に置き換えて、会計処理を確認しましょう。 商品券発行時、お金が600増えるので、仕訳の左側、 「現金」勘定を増やします
商品を引き渡す前に代金を受け取れば、前受債務が発生します。
この債務は前受金勘定と区別するため、「商品券」勘定を使って記録します
次に、商品券と商品を交換した場合を確認しましょう。 商品を売上げることで、商品を引き渡す義務がなくなります。 得意先に商品を売上げたので、仕訳の右側「売上」勘定を増やします。

重要なポイントなので、「買掛金」勘定と「前受金」勘定と「商品券」勘定の3つの勘定科目の違いをおさらいします。

買掛金勘定は「後日、仕入代金を支払う義務」のことでした。 一方、前受金と商品券勘定は、「後日、商品(もしくはサービス)を引き渡す義務」のことでした。 将来、出ていくものが、「カネ」なのか「モノ」なのかの違いがあります

他社発行商品券を受取_取引概要

次は、他社が発行した商品券を当社が商品を売上げたときに受け取った場合について確認します。
全国共通商品券などでは、加盟店が商品券を顧客に発行することがあります。 発行した企業は、後日商品を引き渡す義務を負います。 顧客は加盟店内であればその商品券を使って商品を購入できます。
当社が顧客から売上代金として「他社発行商品券」を受け取ることがあります。 当社は商品を売上げたので、後日、商品券発行企業に対して、代金を請求できる権利を得ます。
後日、受け取った「他社発行商品券」を発行企業に買い取ってもらうことで、両者のもつ債権と債務は清算されます。
登場人物が3者になり少し複雑にみえます。 しかし結果だけ見れば、 顧客に対して、当社が商品を売上げただけですね
時間軸が長くなれば、確かに複雑になりますが、最終形から考えると、間にどんな債権・債務がだれに対して発生しうるかなど考えやすいかもしれません。
次は、他社が発行した商品券を当社が商品を売上げたときに受け取った場合について確認します。
全国共通商品券などでは、加盟店が商品券を顧客に発行することがあります。 発行した企業は、後日商品を引き渡す義務を負います。 顧客は加盟店内であればその商品券を使って商品を購入できます。
当社が顧客から売上代金として「他社発行商品券」を受け取ることがあります。 当社は商品を売上げたので、後日、商品券発行企業に対して、代金を請求できる権利を得ます。
後日、受け取った「他社発行商品券」を発行企業に買い取ってもらうことで、両者のもつ債権と債務は清算されます。
登場人物が3者になり少し複雑にみえます。 しかし結果だけ見れば、 顧客に対して、当社が商品を売上げただけですね
時間軸が長くなれば、確かに複雑になりますが、最終形から考えると、間にどんな債権・債務がだれに対して発生しうるかなど考えやすいかもしれません。

他社発行商品券を受取_会計処理

他社が商品券を発行したときは当社に関係がないため、当社が他社発行の商品券を受け取った時の会計処理を確認します。 当社は商品を売上げたので、後日、代金を請求できる権利を得ます。売掛金と区別するため「受取商品券」勘定を増やします。
次に、他社商品券を精算し、現金を受け取った場合を確認しましょう。
お金が600増えるので、仕訳の左側、「現金」勘定を増やします。代金を受け取れば、債権はなくなりますので、仕訳の右側「受取商品券」勘定を減らします。
他社が商品券を発行したときは当社に関係がないため、当社が他社発行の商品券を受け取った時の会計処理を確認します。 当社は商品を売上げたので、後日、代金を請求できる権利を得ます。売掛金と区別するため「受取商品券」勘定を増やします。
次に、他社商品券を精算し、現金を受け取った場合を確認しましょう。
お金が600増えるので、仕訳の左側、「現金」勘定を増やします。代金を受け取れば、債権はなくなりますので、仕訳の右側「受取商品券」勘定を減らします。

事例:株式会社近鉄百貨店

最後に、実際の企業(株式会社近鉄百貨店)のB/Sをみてみましょう。
連結貸借対照表の負債の部を見てみると、「商品券」が約88億円あります。
「受取商品券」勘定は、B/Sにはありませんが、売掛金に含めて表示しているようです。

他社発行商品券の受取_売上計上時

Q-021_商品券 - 他社商品券の受取(売上計上)

20x1年5月9日
当社は得意先に対し、商品(原価300)600を販売し、信託会社発行の商品券600を受け取った

売上代金として、他者が発行した「商品券」を受け取れば、後日、その商品券分の現金を受け取る権利(債権)が発生します。 これは、他者が振り出した(発行した)約束手形を受けとれば、後日、手形に記載の金額を受け取る権利が発生することと同じです(約束手形であれば「受取手形(資産)」として記録します)。

受け取った商品券は債権なので、仕訳の左側に「資産の+」として「受取商品券」勘定を使い記録します。 この債権は、商品を売上げて得たものなので、仕訳の右側に「売上(収益の+)」と記録します。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20x1年5月9日
受取商品券
600
売上
600

Q-022_商品券 - 他社商品券の精算

20x1年6月30日
信託会社発行の商品券600をすべて精算し、現金600を受け取った

現金及び預金の動きに注目しましょう。この取引では現金が増えます。 仕訳の左側に「資産の+」として、「現金」と記録します。

商品券を現金と交換すれば、債権は精算されるので、仕訳の右側に「資産のー」として「受取商品券」と記録します。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20x1年6月30日
現金
600
受取商品券
600

他社発行商品券のまとめ - 一連の流れ

掛けで売上げる場合と同様、代金決済のタイミングは後日です。
ですので、「後日、商品券と引き換えに、売上代金を受け取る権利(債権)」が発生します。

商品券 - 他社商品券の受取(売上計上)_Q-021
当社は得意先に対し、商品(原価300)600を販売し、信託会社発行の商品券600を受け取った
商品券 - 他社商品券の精算_Q-022
信託会社発行の商品券600をすべて精算し、現金600を受け取った

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商品券 - 他社商品券の受取(売上計上)_Q-021
当社は得意先に対し、商品(原価300)600を販売し、信託会社発行の商品券600を受け取った

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商品券 - 他社商品券の精算_Q-022
信託会社発行の商品券600をすべて精算し、現金600を受け取った

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