約束手形 - 期日決済
まずは、パターン①の期日決済から確認します。
これが最も一般的な約束手形の取引の流れです。
小切手の基本的仕組み(再掲)
復習を兼ね、小切手の取引も確認しておきましょう。
この取引例では、小切手と引き換えに現金を受け取っていますが、それを直ちに普通預金口座に入金した場合は、上記の約束手形とほぼ同じですね。
では、期日決済の会計処理を確認しましょう。
ここでは、手形債権・債務の処理を同時に確認します。
振り出した手形が期日に決済された場合の会計処理を確認します。
手形の振出人の例題
Q-043_約束手形 - 口座開設
当座預金口座に現金を預け入れたときは、「現金」勘定から「当座預金」勘定に振り替えます。 小切手のときと同じ処理です。
日付 | 左側 | 右側 | ||
---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年4月10日 | 当座預金 | 300 | 現金 | 300 |
Q-044_約束手形 - 手形債務の発生
手形の振出人からみた場合、手形を振り出して発生した手形債務は「支払手形」勘定で記録します。
日付 | 左側 | 右側 | ||
---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年4月30日 | 仕入 | 300 | 支払手形 | 300 |
Q-045_約束手形 - 手形債務の精算
手形が銀行に持ち込まれ、支払期日になれば、振出人の当座預金口座から引き落とされます。 振出人の手形債務がなくなるので、「支払手形」勘定を減らします。
日付 | 左側 | 右側 | ||
---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年7月30日 | 支払手形 | 300 | 当座預金 | 300 |
まとめ - 手形の振出人
手形の受取人の例題
アゴヒゲさん側の処理も確認しておきましょう。 なお、アゴヒゲさんをクチヒゲさんに、クチヒゲさんをハートさんに変えても同じです。
Q-046_約束手形 - 手形債権の発生
手形の受取人からみた場合、手形を受け取って発生した手形債権は「受取手形」勘定で記録します。
日付 | 左側 | 右側 | ||
---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年4月30日 | 受取手形 | 300 | 売上 | 300 |
Q-047_約束手形 - 手形債権の回収
受取人からみれば、手形債権が精算され預金口座へ入金があるので、「受取手形」勘定を減らします。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年7月30日 | 普通預金 | 300 | 受取手形 | 300 |
まとめ - 手形の受取人
最初に勘違いやすいポイント!
手形を受け取ったから「受取手形」勘定というふうに覚えると、いずれとっても混乱することになるので注意が必要です! そうです、これでとっても混乱したのは、学生だった当時の私に他なりません!
あくまで、手形の債権・債務の関係がどうなったかに注目しましょう。 手形の債権を「受取手形」勘定で、手形の債務を「支払手形」勘定で記録しているにすぎません。 これは、売掛債権を「売掛金」勘定で、買掛債務を「買掛金」勘定で記録していることと同じです。
なぜ混乱するかといえば、手形は第三者に流通することを前提にしているからです(詳細は後述)。 だれに対して発生した手形債権・手形債務なのかを理解する必要があります。
たとえば、自己振出の手形を受けとった場合の会計処理をみるとよくわかります。 ざっくり解説すると(詳細は後述)、手形を振り出したときにその振出人に手形債務が発生します。 その後巡り巡って、自分が振り出した手形を後日受け取ることになれば、手形受取人に対する支払義務(手形債務)がなくなりますので、 仕訳の左側に「負債のマイナス」として「支払手形」の減少を記録することになります。
債権債務の関係が取引によって、どう変わったのかを整理すれば、「自己振出手形の受取」に関する設問も、決して難しくはないと思います。