「車両運搬具」勘定の設例
まず、問題文に慣れていきましょう。
建物、土地といった他の有形固定資産についても順番に確認していきますが、基本はどれも同じです。
ここでは、車両運搬具です。
なお、「工具器具備品」は車両運搬具勘定と論点は全く同じですので、設例を省略します。
1_取得、減価償却、売却(直接法)
Q-086_有形固定資産 - 取得
購入対価(たとえば、納車するための手数料など)が問題文にあれば、取得原価に含めます。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年4月1日 | 車両運搬具 | 240 | 現金 | 240 |
Q-089_有形固定資産 - 減価償却
これは、取得した期の決算における、1年目の減価償却費の計上です。 この決算整理後の車両運搬具の帳簿価額は、240から180になります。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X2年3月31日 | 減価償却費 | 60 | 車両運搬具 | 60 |
Q-097_有形固定資産 - 減価償却
これは、取得後2年目の減価償却費の計上です。 図ではピンク色のボックスに注目してください。 この決算整理後の車両運搬具の帳簿価額は、180から120になります。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X3年3月31日 | 減価償却費 | 60 | 車両運搬具 | 60 |
Q-098_有形固定資産 - 減価償却
これは、取得後3年目の減価償却費の計上です。 図ではピンク色のボックスに注目してください。 この決算整理後の車両運搬具の帳簿価額は、120から60になります。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X4年3月31日 | 減価償却費 | 60 | 車両運搬具 | 60 |
Q-093_有形固定資産 - 売却
これまで減価償却してきたので、簿価は60になっていました。
これを100で売却したわけです。
したがって、売却益は、売却対価100から簿価60を差し引いた40です。
もし、売却対価が10だけであれば、売却損は50です。
なお、車両運搬具の取得と売却は、投資活動の一環として起こるものであり、
これによって生じた売却損益は、損益計算書上、営業活動よりも下の損益(営業外損益か特別損益のいずれか)になります。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X4年4月1日 | 現金 | 100 | 車両運搬具 固定資産売却益 | 60 40 |
Q-095_有形固定資産 - 売却
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X4年4月1日 | 現金 固定資産売却損 | 10 50 | 車両運搬具 | 60 |
連続したスライドでもう一度、確認してみましょう。
2_取得、減価償却、売却(間接法)
Q-086_有形固定資産 - 取得
直接法も間接法も減価償却の記録方法の話なので、取得時点ではどちらも同じです。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年4月1日 | 車両運搬具 | 240 | 現金 | 240 |
Q-091_有形固定資産 - 減価償却
間接法なので、「減価償却累計額」勘定を使って記録していきます。「車両運搬具」勘定を直接減額しません。
なお、貸借対照表の表示において、この減価償却累計額を車両運搬具からマイナスします。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X2年3月31日 | 減価償却費 | 60 | 減価償却累計額 | 60 |
Q-099_有形固定資産 - 減価償却
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X3年3月31日 | 減価償却費 | 60 | 減価償却累計額 | 60 |
Q-100_有形固定資産 - 減価償却
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X4年3月31日 | 減価償却費 | 60 | 減価償却累計額 | 60 |
Q-092_有形固定資産 - 売却
期中(7月30日)に売却したため、売却した月までの減価償却費20(4月から7月までの4ヶ月分)を月割りで計上していることに注目してください。 日商簿記検定では、ここがいかにも問われやすそうです。
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X4年7月30日 | 現金 減価償却累計額 減価償却費 | 100 180 20 | 車両運搬具 固定資産売却益 | 240 60 |
連続したスライドでもう一度、確認してみましょう。
間接法なので、「車両運搬具」勘定を直接減らさないで、「減価償却累計額」勘定に毎年の「減価償却費」をためていきます。
売却時にそれを取り崩します。「車両運搬具」勘定は取得原価のままですね。
3_取得時の未払債務
有形固定資産を取得し、後日購入代金を支払うことにすれば「未払債務」を負います。 これは「未払金」勘定を使います。営業取引(商品仕入)で発生する債務(買掛債務 = 「買掛金」)なのか、投資取引(固定資産の購入)で発生する債務(未払債務 = 「未払金」)なのかを勘定科目で区別するのは、財務諸表利用者のためです。 これが区別されないと財務分析が難しいのです(運転資金が計算できなかったり)。
Q-087_有形固定資産 - 取得
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年4月1日 | 車両運搬具 | 240 | 未払金 | 240 |
Q-088_有形固定資産 - 取得
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x1年6月30日 | 未払金 | 240 | 現金 | 240 |
4_減価償却費の月割り計算
取得や売却が、期中取引であれば、減価償却費を月割り計算します。
ほとんどの場合、期中取引になるはずなので(期首は365日のうち、1日しかないため)、ほとんどのケースで減価償却費は月割り計算します。
Q-090_有形固定資産 - 減価償却
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20x2年3月31日 | 減価償却費 | 35 | 車両運搬具 | 35 |
5_売却時の未収債権
固定資産を売却したことで発生する「未収債権」は「未収入金」勘定で記録します。
Q-094_有形固定資産 - 売却
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X4年4月1日 | 未収入金 | 100 | 車両運搬具 固定資産売却益 | 60 40 |
Q-096_有形固定資産 - 売却
日付 | 左側 | 右側 | ||
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勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
20X4年6月30日 | 現金 | 100 | 未収入金 | 100 |