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貸し倒れの設例

ここの設例では、日商簿記3級の設例を紹介するため、一般債権に引き当てる実績率法だけを扱います。

1_決算整理時の処理

まずは、決算整理時の処理から確認します。
売上債権の残高をすべての設問で350、貸倒実績率を10%と固定しています。

Q-109_貸倒れ - 決算処理

20X2年3月31日
決算において、受取手形と売掛金、電子記録債権の期末残高合計350に対し、10%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、決算整理前の貸倒引当金の残高はゼロである

当期に発生した債権に対して、過去の貸し倒れ実績率から貸倒引当金を見積もって計上していきます。

貸倒引当金は、資産の控除項目です。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20X2年3月31日
貸倒引当金繰入
35
貸倒引当金
35

Q-110_貸倒れ - 決算処理

20X2年3月31日
決算において、受取手形と売掛金、電子記録債権の期末残高合計350に対し、10%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、決算整理前の貸倒引当金の残高は15である

今回は、残高が15あります。必要な分を引当金に追加します。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20X2年3月31日
貸倒引当金繰入
20
貸倒引当金
20

Q-111_貸倒れ - 決算処理

20X2年3月31日
決算において、受取手形と売掛金、電子記録債権の期末残高合計350に対し、10%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、決算整理前の貸倒引当金の残高は50である

今回は、残高が50あります。余分を引当金から取り除きます。 仕訳の右側は、「貸倒引当金戻入」勘定を使うか、「貸倒引当金繰入」勘定を使うか、いずれかの方法がありますが、今回は「貸倒引当金戻入」を使います(いったん選択した会計方針は今後も継続して使うことになります)。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20X2年3月31日
貸倒引当金
15
貸倒引当金戻入
15

2_貸し倒れ発生時の処理

次に、貸し倒れが発生したときの処理を確認します。
売上債権の残高をすべての設問で350、貸倒実績率を10%と固定しています。

Q-112_貸倒れ - 貸倒発生時

20X2年4月31日
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金50(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高はゼロである。

前期に発生した債権が貸し倒れれば、通常、引当金を取り崩しますが、 今回のように、引き当てられる残高ない場合、貸し倒れ債権の全額を「貸倒損失」に記録します。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20X2年4月31日
貸倒損失
50
売掛金
50

Q-113_貸倒れ - 貸倒発生時

20X2年4月31日
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金10(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は30である。

前期に発生した債権が貸し倒れれば、あらかじめ設定した貸倒引当金を取り崩しましょう。 今回は、貸倒債権の全額が引き当てられました。 見積もった甲斐がありましたね。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20X2年4月31日
貸倒引当金
10
売掛金
10

Q-114_貸倒れ - 貸倒発生時

20X2年4月31日
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金50(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は30である。

前期に発生した債権が貸し倒れれば、あらかじめ設定した貸倒引当金を取り崩しましょう。 今回は、貸倒債権の一部が引き当てられました。引き当てきれなかった残額は、全額「貸倒損失」に計上せざるを得ません。 今年は、これまでの貸倒れ率を上回って貸倒れが発生したということです。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20X2年4月31日
貸倒引当金
貸倒損失
30
20
売掛金
50

Q-115_貸倒れ - 貸倒発生時

20X2年12月31日
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金50(当期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は30である。

当期に発生した債権が貸し倒れれば、当期に発生した売上(売上原価)の計上と同時期であるため、期間損益計算になんら問題が起きません。 引当金の設定は何も関係ないです。 全額「貸倒損失」に計上しましょう。 これで結果として、仕入れた商品をタダで得意先にあげたということがこの会計期間内の損益計算に反映されることになります。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20X2年12月31日
貸倒損失
50
売掛金
50

3_貸倒処理済みの債権を回収できた

まれに貸し倒れ処理した債権の一部を回収できることがあります。
期をまたぐ場合は、「償却債権取立益」勘定で記録します(Q-116)。
期をまたがなければ、「貸倒損失」をあるべき値に修正することになるため、「貸倒損失」勘定で記録します(Q-117)。

Q-116_貸倒れ - 貸倒債権の回収_前期に発生

20X2年4月31日
前期において、得意先が倒産し、得意先に対する売掛金100を貸倒損失と処理したが、当期になり、その一部を現金30で回収した。

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20X2年4月31日
現金
30
償却債権取立益
30
補足します。
x1期において、債権を直接減額したあとに、、、
別の期において、その債権の一部を回収すれば、「償却債権取立益」勘定で記録します。なお、これは営業外収益です。
x1期において、債権を直接減額したあとに、、、
別の期において、その債権の一部を回収すれば、「償却債権取立益」勘定で記録します。なお、これは営業外収益です。

Q-117_貸倒れ - 貸倒債権の回収_当期に発生

20X1年12月31日
期中において、得意先が倒産し、得意先に対する売掛金100を貸倒損失と処理したが、当期中に清算配当として、現金30を受け取った

日付 左側 右側
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20X1年12月31日
現金
30
貸倒損失
30
こちらも補足します。
x1期において、債権を直接減額したあとに、、、
同会計期間において、その債権の一部を回収すれば、当期の貸倒損失は70と処理すべきことになるため、「貸倒損失」を修正します。
x1期において、債権を直接減額したあとに、、、
同会計期間において、その債権の一部を回収すれば、当期の貸倒損失は70と処理すべきことになるため、「貸倒損失」を修正します。

まとめ - 貸倒れ

決算整理時の処理
貸倒れ - 決算処理_Q-109
決算において、受取手形と売掛金、電子記録債権の期末残高合計350に対し、10%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、決算整理前の貸倒引当金の残高はゼロである
貸倒れ - 決算処理_Q-110
決算において、受取手形と売掛金、電子記録債権の期末残高合計350に対し、10%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、決算整理前の貸倒引当金の残高は15である
貸倒れ - 決算処理_Q-111
決算において、受取手形と売掛金、電子記録債権の期末残高合計350に対し、10%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、決算整理前の貸倒引当金の残高は50である

1/3

貸倒れ - 決算処理_Q-109
決算において、受取手形と売掛金、電子記録債権の期末残高合計350に対し、10%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、決算整理前の貸倒引当金の残高はゼロである

1/3

貸倒れ - 決算処理_Q-110
決算において、受取手形と売掛金、電子記録債権の期末残高合計350に対し、10%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、決算整理前の貸倒引当金の残高は15である

2/3

貸倒れ - 決算処理_Q-111
決算において、受取手形と売掛金、電子記録債権の期末残高合計350に対し、10%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、決算整理前の貸倒引当金の残高は50である

3/3

貸倒れ発生時の処理
貸倒れ - 貸倒発生時_Q-112
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金50(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高はゼロである。
貸倒れ - 貸倒発生時_Q-113
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金10(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は30である。
貸倒れ - 貸倒発生時_Q-114
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金50(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は30である。
貸倒れ - 貸倒発生時_Q-115
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金50(当期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は30である。

1/4

貸倒れ - 貸倒発生時_Q-112
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金50(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高はゼロである。

1/4

貸倒れ - 貸倒発生時_Q-113
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金10(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は30である。

2/4

貸倒れ - 貸倒発生時_Q-114
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金50(前期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は30である。

3/4

貸倒れ - 貸倒発生時_Q-115
得意先が倒産し、得意先に対する売掛金50(当期に発生)が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は30である。

4/4

貸倒債権一部回収時の処理
貸倒れ - 貸倒債権の回収_前期に発生_Q-116
前期において、得意先が倒産し、得意先に対する売掛金100を貸倒損失と処理したが、当期になり、その一部を現金30で回収した。
貸倒れ - 貸倒債権の回収_当期に発生_Q-117
期中において、得意先が倒産し、得意先に対する売掛金100を貸倒損失と処理したが、当期中に清算配当として、現金30を受け取った

1/2

貸倒れ - 貸倒債権の回収_前期に発生_Q-116
前期において、得意先が倒産し、得意先に対する売掛金100を貸倒損失と処理したが、当期になり、その一部を現金30で回収した。

1/2

貸倒れ - 貸倒債権の回収_当期に発生_Q-117
期中において、得意先が倒産し、得意先に対する売掛金100を貸倒損失と処理したが、当期中に清算配当として、現金30を受け取った

2/2